彼女のアバターに無いもの
体格、骨格、プロポーションの再現性はほぼ完全。
顔は雰囲気が相当近いが実物の方がもっと美人。
彼女に骨を抜かれた、今も余韻から抜け出せずにいるわが社の若い連中やオヤジどもに彼女のアバターのスクリーンショットを見せた時のリアクションだ。
だが、これは私に言わせれば表面的なものに過ぎない。
男の勘違いの最大の誘因である『ふと目があった瞬間の微笑み』
全盛期の梅沢富美男を凌駕する『男を蕩けさせる流し目』
そして、『全身からうっすら香る桃の香り』
しかし、リアルコアコンピタンスと言える彼女のこれらが彼女のアバターで再現されていないことを私は不満に思っているわけではない。
むしろ、歓迎している。
なぜなら、それをリアルな実体験で補足しながらアバターの彼女と仮想世界で接することが私にはできるからだ。
彼女のリアルを知る者がかの世界に少なからずいることも知っているが、そんなことはここでは関係ない。
『放置』という凡そ現実世界ではあり得ない状態でいる彼女の隣に座るだけで私はそれを感じることが出来るのだ、放精してしまいそうな程に心地よく。
仮想世界の不完全性が与えてくれる優越感。
リアルでは味わうことの出来ない優越感。
私が彼女のSIMから外に出る気になれない理由はそこにある。