オヤジの一目惚れ片想い

クロスボーダーおやじの片想いブログ

美人秘書に違いない

プロジェクトは「炎上」と言われる最悪の状態だった。
経営層の、株主の期待を完膚無きまでに踏みにじること必至と誰もが確信している状態だった。
そこに、あるコンサルタントの参入が決まったのが昨年の春だった。
OS(オペレーティングシステム)の設計、プロジェクトマネジメント、業務改革や品質改善のコンサルまでこなすスーパーマンと聞かされた。
肩書きと経歴から推して、自分と同年代の「オヤジ」とばかり思っていた。


プロジェクト仕切り直しのキックオフミーティングの場に、ひとりの女性が現れた。
私の半分くらいの年齢、170cmを軽く超える上背、細身ながらグラマラスで、知性と妖艶さを醸し出しながら凛として堂々と振る舞う美女の登場に会議室はにわかにざわめいた。


誰だ、あの美人?お偉いコンサル先生の秘書だろ!
場内にそんな小声の会話が充満した時、その騒めきを吹き飛ばすかのように、場内に彼女の透き通った声が、それも壇上に用意されたマイクも使われずに響き渡った。


先ずお詫びしなければならないようですので、お詫びから入らせていただきます。
皆様のご期待に添うことできず申し訳ございませんが、私は秘書ではございません。


彼女がプロジェクト予備費の大半を使い切るコストで、おまけに当社経営陣が頭を下げて招聘したコンサルタントだった。


場内にいた皆の目には彼女の美貌が焼きつき、心には衝撃が刻まれた瞬間だった。
そのインパクトの大きさは、あんな若い娘に何ができるというんだ、という声が老練なマネジメント層から微塵も噴出しなかったことが表していた。


私の心臓はこの一撃に撃ち抜かれた。